派遣社員の正社員化は可能なのか

4~6月の実質GDPが年率で27.8%減り、それが戦後最大の下げだとニュースになっていました。

 

 

 

海外に目を向けると「4~6月期の米国のGDP減少率は前期比年率32.9%、英国は約60%、ドイツも30%を超え、軒並み過去最悪の落ち込みとなった。」ということですし、
日本も初めて緊急事態宣言を発出したことを考えると、むしろ健闘したという見方も出来るのではないでしょうか。

 

 

あれだけ街から人が減っても、前期比で約8%しか減っていないことに驚きです(27.8%という数字なのはあくまでも「年率換算」なので、実際に27.8%GDPが縮小したわけではありません)。

 

明らかに街から人が減って、ネットを見ても総悲観モードですが、案外お金があるところにはあるのかもしれません。

 

 

そんな中、やはりネットでは「格差」に言及されている方が多くみられ、その原因は小泉・竹中時代の派遣法改正とされていました。

 

 

要するに、大企業は賃金の高い正社員を雇わなくなり、(優秀な?)雇用の調整弁にもなる低賃金の派遣社員を増やしている。というロジックです。

 

 

なるほど、その通りだとは思うのですが、これだけグローバル化が進む中で、製造業の派遣を禁止したら、益々多くの企業は生産拠点を海外へ移転してしまうのではないでしょうか。

 

1970年代~とは違い、海外メーカーに技術もキャッチアップされてきてしまっている中で、
給料の高い正社員(ネットだと、正社員は給料だけ高い割に無能と言われることが多いですが、今の「優秀な」派遣社員を正社員にしたら優秀な正社員になってくれ、優秀なままでいてくれるのかも疑問です)だけで物作りして利益を生み出せるのでしょうか。

 

 

外国との競争も入れると少し複雑になってしまうので、日本だけのことで単純化して考えてみたいと思います。

 

 

先ず、

・昔の日本企業は正社員を沢山雇用し、沢山お給料を払っていた。

 

これにはちょっと誤解があるのではないかと思うんです。

 

 

そもそも、今も昔も日本企業に生産年齢の男女全員を昔(1990年代前半)の正社員の待遇で雇用できる余裕なんてないのではないでしょうか。

 

 

1990年に正社員総合職100人を月給50万円で雇っていた会社A(日本)があったとします(月の人件費は50万円×100人で5,000万円)。

・総合職は分かり易く全員男性でした。

・毎年、新卒を5人採用していました。

・世の中には働くことの出来る男女が7千万人いました(そのうちの半分だけ正社員の椅子がありました。全員男性)。

 

 

日本はこの30年程はほとんど成長していません(多少成長していますが、ここでは極端に説明します)。

 

少子高齢化は進んでいますが、そこまで生産年齢の人口は変わっていません(最近は減っていますが、ここでは極端に説明します)。

 

 

 

 

なので、2020年になっても会社A(日本)が負担出来る月の人件費は5,000万円のままです。

 

世の中で働ける人の男女数は7千万人のままです。

 

 

 

そんな中、日本では30年ほど前から、女性が結婚しても正社員として働き続けられる道が開かれました。

 

 

会社A(日本)も女性の新卒採用を積極的に行ったり、今まで結婚などでやめてもらっていた女性社員を復職させたりするようになりました。

 

 

結果、1993年には正社員の数が53人になりました(3人が女性総合職)。

 

 

しかし、会社A(日本)は成長していないので、会社Aが負担出来る月の人件費は5,000万円のままです(総合職50人分)。

 

 

やばい!このままだと潰れるぞ!ということで、会社Aはリストラをしようとしました。

 

 

ところが、日本では正社員を簡単に解雇したり出来ません

これまで毎年新卒採用を行っていた会社Aでしたが、既存の正社員へお給料を支払うので精一杯になり、新規に正社員を採用する余力がなくなりました。

 


仕方が無いので、1995年からは新卒採用を2人に減らし、非正規で3人雇うことにしました(女子正社員が増えた分男子正社員が減りました。男性の非正規雇用が増えました。働ける人数は同じなのに、正社員の募集が減ってしまい氷河期世代が生まれました。)。

 

 

 

さて、1990年時点で正社員だったBさんは結婚して、奥さんは専業主婦でした。

 

Aさんが毎月50万円を稼いでいたので、二人で仲良く50万円を使っていました。

ここでのポイントは

 

正社員の夫が夫婦二人分の生活費を稼げた

・正社員の夫と妻との所得再配分が行われていた

 

ということです。

 

 

会社の業績が厳しくなった、1993年以降、定期的な昇給が凍結されました(正社員の夫が夫婦二人分の生活費を稼げたのが、夫婦共働きでなければ生活できなくなりました。)。

 

 

1995年に入社した5人の内訳は正社員が2名で男女各1名、非正規が3名で女性2人、男性1人でした。

 

 

3年後に正社員同士が社内結婚しました(夫婦共働きでなければ生活が厳しいので)。

 

 

他方、2020年になっても非正規の2名(男女各1名)は未婚のままです(1名は社外の男性と結婚しました)。

 

 

以前は正社員の夫と非正規の妻の結婚による所得再配分が行われていたのが、正社員同士の夫婦が増えて非正規の男女は結婚できなくなり、格差が拡大しました。

 

 

結婚しない、出来ない男女が増え、高齢化が進みました。

 

 

ま、こんな感じではないでしょうか。

 

 

今も昔も、日本には生産年齢の男女全員を昔の正社員の待遇で雇用できる余裕はないのです。

 

 

働ける人全員が正社員になるなんて無理なんです。

 

 

女性の社会進出を望みながら正社員の既得権益を守るというのは不可能でしょう。

 

 

本当に必要なのは雇用の流動化です。

 

 

なのに、「雇用の流動化=安易なリストラ」という結びつけがなされてしまうため、一向に雇用の流動化は進みません。

 

 

弱者のために流動化をしようとしても、むしろ弱者が「雇用の流動化反対!」となってしまいます。

 

 

弱者の味方のふりをした政治家は普通の主張をしたのでは、票が集められないので、ワンチャン奇をてらった主張、耳触りの良い主張をします。

 

 

弱者がそういう人に投票します。

 

 

殆どは死に票になったり、選ばれた政治家も少数派なので、主張は通りませんし、そういう政治家は政治家になることが目的なので、
主張を実現するつもりはありません。実質、死に票になります。

 

 

流動化による活性化によって会社A(日本)自体が大きくならないと椅子(雇える社員の数)は増えないのです。

 

 

どなたか、椅子が増えるような政策を考えて下さい。

 

 

0

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です